研究部からのひとこと

2018.01.17 ゴジラと日米同盟(楠綾子准教授)

 日文研では毎月1回、所内の研究交流の場として木曜セミナーが開催されている。
 新任の教員は、自己紹介を兼ねて自分の研究紹介をすることになっており、私も2015年4月の着任からまもなく「日米同盟研究ーー歴史と理論」と題して報告した。
 なにしろ、所内で核兵器だのミサイルだの、といささか物騒な話をしているのは私ぐらいなので、はたして所員の先生方におもしろいと思っていただけるのだろうかと不安であった。ひととおり報告が終わったところで、ある先生から手が上がった。「ゴジラが出てきたときになぜ米軍は助けてくれなかったのか」。国際政治学や私が専門とする日本政治外交史の研究会ではまず出ない質問で、正直なところ面食らった。ゴジラは自然災害じゃないでしょうかね、などと胡麻化したように記憶している。
 しかし、これは同盟理論でいう「見捨てられる恐怖」にかかわる問題である。同盟を結んでも、いざというときに同盟相手はほんとうに支援してくれるのかという不安は常につきまとう。思いもかけない角度から本質的な問題を考えるきっかけがあちこちに顔を出しているのが日文研である。
 なお、2016年公開の「シン・ゴジラ」では、日本政府の要請に基づいて在日米軍が出動していた。ゴジラに打撃を与えることには成功するが、かえってすさまじい破壊を招くことになったというストーリーから、なにを読み取ることができるだろうか。

 

楠綾子准教授 紹介ページ
http://research.nichibun.ac.jp/ja/researcher/staff/s061/index.html