研究部からのひとこと

2018.01.10 妖怪研究の総本山として・・・(木場貴俊プロジェクト研究員)

 私が日文研を訪れたのは、2003年4月に行われたシンポジウム「妖怪研究の過去・現在・未来を考える」最終日にオブザーバーとして参加したのが初めてだった。
 このときはまだ岡山在住だったが、関西に居を移してからも、共同研究「怪異・妖怪文化の伝統と創造―前近代から近現代まで―」ではオブザーバー/ゲストスピーカー、同「怪異・妖怪文化の伝統と創造―研究のさらなる飛躍に向けて―」では共同研究員として、日文研の「外」から関わってきた。
 そして、この10月からプロジェクト研究員として日文研の「中」で勤めている。全く以て奇縁である。
 世に少なからず存在する妖怪愛好の徒にとって、日文研はアカデミズムによる妖怪研究の「総本山」というイメージが強い。公開して15年が経つ「怪異・妖怪伝承データベース」をはじめとする妖怪データベース(「怪異・妖怪画像データベース」「怪異・妖怪絵姿データベース」)が日文研を代表する人気データベースであることもその証の一つ。7月末には「妖怪データベースからの創造―公開15周年記念シンポジウム」も開催された。
 ただし、現況に至るまでには、上記の共同研究代表だった小松和彦現所長を中心とした並々ならぬ努力があったことを忘れてはいけない。そもそも妖怪は、それまで戦後アカデミズムが無視してきたものなのだから。研究は一日にしてならず。
 現在、日文研での妖怪研究は、機関拠点型基幹研究プロジェクト「大衆文化の通時的・国際的研究による新しい日本像の創出」(大衆文化研究プロジェクト)近世班の一翼を担っている。これは、妖怪だけに留まらずに他の文化と併せて考えることで、より広く高い視野から近世文化を見ることが目的であり、これまでの応用でもある。
 私自身、これからも妖怪研究の総本山として存続していくことを、研究者として妖怪愛好の徒として切に望んでいる。

 

木場貴俊プロジェクト研究員 紹介ページ
http://research.nichibun.ac.jp/ja/researcher/staff/s532/index.html