研究部からのひとこと

2018.01.24 日文研所蔵日本関係欧文図書コレクションとの出会い(フレデリック・クレインス准教授)

 日文研所蔵日本関係欧文図書(外書)との出会いは京都大学博士課程に在籍していた1998年に遡る。当時、指導教官であった松田清先生に日文研に連れられて、図書館の貴重書庫に入った。そこには、西洋諸言語で書かれた日本関係古書がずらりと書架に並んでいた。ちょうどその年に松田先生は白幡洋三郎先生と共に日文研創立10周年を記念して、『日本関係欧文図書目録』第1巻から第3巻の刊行を終えたところであった。同目録には、日文研が1987年の創立以来1996年3月までの間に収集した、1900年以前刊行の日本関係欧文図書の書誌が収録された。

 同目録では、各図書についてその成立や主題を示すために、標題紙における題目や出版事項などの記載内容全部が転写されたほか、日本についてどのような内容が含まれているのかを示すために、各書誌の「日本関係記事」項において、日本関係記事を含む章や項の見出しが採録されていた。さらに、すべての図書について標題紙および口絵の写真が掲載され、また、日本関係の図版や挿絵の写真が多く収録された。これにより、同目録を眺めると、1900年までに西洋において内容・視覚の両面でに日本についてどのような情報が普及していて、日本がどのように認識されていたのかを一覧することができる。同目録の編纂・刊行はまさに画期的な企画であった。

 当時蘭学を研究課題としていた私は、その後この事業を引き継ぐことになるとは夢にも思わなかった。2003年に助手として日文研で働くことになった時に、それまで精力的に日本関係欧文図書を収集されていた故園田英弘先生および白幡洋三郎先生から、コレクションをさらに充実させるようにと仰せつけられたことがきっかけで、国内外の洋古書店での収集活動に全力を注いだ。

 私が担当するようになってからの収集活動においては、外国との交流が制限されていた1853年以前刊行分の収集に専念した。というのも、1853年以前刊行分であれば、いつか網羅的に収集し尽せるのではないかと思ったからである。15年経った今では、前述の『日本関係欧文図書目録』に収録されていた211冊の倍近い冊数の約400冊および古地図95枚の収集に達している。この度、2017年の日文研30周年記念をきっかけに『日本関係欧文図書目録』の続編を刊行する運びになったが、これがどんなに無謀な計画であったのかは、実際に着手してから、身をもって体験した。やはり、20年前の松田先生と白幡先生の努力は並外れたものであったことがよく分かった。

 

フレデリック・クレインス准教授 紹介ページ
http://research.nichibun.ac.jp/ja/researcher/staff/s067/index.html