研究部からのひとこと

2016.11.30 絵美伝数(えびでんす)のタソガレ(マルクス・リュッターマン准教授)

 暦の半周を廻(めぐ)った。その又半分の運行に相乗り、汗をかいたつもりだ。果たして学問認識が明確、すなわちエビデントに共有されたのだろうか。先日機構側の一団が本センターを訪問して、反省の契機となった。

 浮世の振り袖に「かしこ」とある皺を発見した閃き。これは「絵」の記号学に触発され、論文として公開した。

 書簡通史研究では麗句と取り組んでも、プラトン・カントの求めた「最善」と「美」で苦戦して、単行本を披露した。

 ロドリーゲス編の『大文典』や契沖著『和字正濫鈔』、本に居て宣(の)りて、長く伝承される『古事記』で古語を調べ、さらに「古今伝授」の切り紙や「伝授批判」の論書を閲覧した時が楽しかった。啓蒙に信頼をよせながら「伝」の「授」と「承」との異質を議して世に表す切っ掛けになった。

 カッシーラーとウィーン学派との関係から、人文を天文学史や小鳥・霊長におけるコミュニケーションの行動学研究への憧れと結び、自然科学と人文科学との和解を念じつつ、神話学から関学までの一貫を包括し、学びの際を渡る形跡に執筆も「数」あり。

 以上申し上げた旨は殆どがインターネットで可視化。或は本で読める、或は質は伺えないにしても、実績表でもその概要と数は伝わる。それでも、日文研IR室作統計のにならない、そのグラフのに合わない、IR室のを経ない、しかもその字に反映しないかぎり、「エビデンスにならない」! 機構側の一団がこのように八角堂の星天上窓に響かせて、「外の声」による祝言を届けてきた。嗚呼、三十周年に至る啓蒙の挙句は、眩みが花というのか。

 

マルクス・リュッターマン准教授 紹介ページ
http://research.nichibun.ac.jp/ja/researcher/staff/s020/index.html