研究部からのひとこと

2016.12.21 3・11 東日本大震災から5年目に考えること
(ミツヨ・ワダ・マルシアーノ外国人研究員)

 日文研の創立30周年記念、もうすぐですね。すばらしい研究者たちによって生み出された輝ける仕事群は日文研の財産としてだけではなく、日本中の、また海外の研究に大きく貢献してきたと思います。このような研究のムーブメントの中に二度も参加できたことを光栄に思います。

 日文研に外国人研究員として初めて参加したのは2010~11年でした。ちょうど東日本大震災が起きた年です。多くの外国人研究員たち、特に彼らと一緒に日文研に滞在していた家族の方々は、3月11日以後、次々と帰国してしまいました。日本は終焉を迎えるかもしれない、原発問題を中心とする日本におけるエネルギー問題は大きな変革を迎えざるをえないだろう。こういった当時の危機感は、今回、再来日してみると、マスメディア上ですっかり不可視化されていました。13万4千人に上る避難者がいまだ存在し、約11万6千人が今もなお仮設住宅等で生活しているというのに。

 日本文化を研究する目的は、現代の日本の問題点を普遍化させ、グローバルなレベルでの対話へと結びつけることだと思います。市場の論理を優先するマスメディアができないことを引き受ける、それが私たち研究者の使命かもしれません。そういった役割を日文研は今まで引き受けてきたのだと思いますし、また、これからも担い続ける必要があるのではないでしょうか。

 

ミツヨ・ワダ・マルシアーノ外国人研究員/カールトン大学教授