研究部からのひとこと

2017.02.01 日文研における講座制(フレデリック・クレインス准教授)

 かつての旧帝国大学には教授を長とする講座制が存在していた。ところが、平成13年の大学設置基準の改正以来、国立大学における教員組織の在り方が多様化してきた。しかし、日文研においては今もなお実質上一種の講座制が存在している。つまり、日文研に在籍している所員はそれぞれ異なった研究分野を専門とし、各所員が一つの講座を実質的に担当している。また、各所員の専門分野はほとんど重複していない。従って、各所員が、共同研究会を初めとして、研究協力や教育等その分野におけるすべての責任を背負っていることになる。これは、日本学それ自体がディシプリンではなく、日本学の中に史学や文学、思想史、交流史、社会学、法学、美術史、建築史、科学史、音楽史、文芸、比較文化等々の専門分野が存在することに起因する。効率的な研究協力を行えるようにするためには、これらすべての分野の専門家を配置する必要がある。

 従来の講座制においては教授が助教授や助手などに支えられていたのに対して、日文研では基本的に各所員が一講座すべての責任を一人で負わなければならない。これが旧帝国大学と日文研との間の最も大きな違いであると言える。慢性的な人材不足を抱えながらも、30年もの間、年々増え続ける公務もこなしつつ、これだけの多様性を揃え、成果を出し続けてきたことはまさに奇跡であろう。

 

フレデリック・クレインス准教授 紹介ページ
http://research.nichibun.ac.jp/ja/researcher/staff/s067/index.html