研究部からのひとこと

2017.05.31 「不沈空母」から「浮沈空母」へ?(稲賀繁美教授)

 かつての日文研では、教授たちは、いつでもパスポートを持参しており、海外から要請があればすぐにでも駆けつける気概があったという。それだけの行動の自由と機動性を発揮できる学術環境があった。だが創立30年を迎えた今、時代はもはやそうした奔放さを許さない。多年度にわたる詳細な研究計画の立案と行政を代行する事業運営、基盤事業にまで食い込む機構や文科省からのさまざまな行政監督。統制経済まがいのがんじがらめの予算執行。かつての「文化の不沈空母」はいまでは独自の航路計画も作れず、監督官庁主導の船団への恭順の意を示すのが精一杯の劣等生扱いだ。

 せめても「浮沈空母」を気取って、時々は水面下に身を沈め、神出鬼没の羅漢精神を発揮したいのだが。

 しかし、うっかりすると沈んだきり二度と浮上できず、行方不明となる恐れも、なきにしもあらずである。

 

稲賀繁美教授 紹介ページ
http://research.nichibun.ac.jp/ja/researcher/staff/s066/index.html