研究部からのひとこと

2017.06.14 海外に発信する(磯田道史准教授)

 日文研も30歳。誕生のきっかけは京都市の「世界自由都市宣言に基づく提案」(1980年)である。「日本はこの100年、外国から文化を移入するのに大きな努力を払った。しかし、自国の文化を外国に移出するのに、その努力の100分の1も払わなかった」、新研究所を設立しよう、という話になって、この研究所はできた。私の立場は、古文書をみつけて読み解く係ではあるが「海外への発信」は常に意識している。「仕事おわったあ」と思えるのは、実は国際線の飛行機のなかで自分の作品が映画になって流され、それを異邦の人々がみているのを目撃した時である。映画を観た人が日本に観光にきてくれるかもしれない、日本の伝統風景を世界の何万という人がみてくれている。その気分が至上の悦びである。映画になった『無私の日本人』は『Unsung Heroes of Old Japan』という題で英訳を出してもらった。古文書発掘が川上とすれば映画化や英訳は川下である。川上から川下まで学術から文化普及まで全部やりたい。だから、日文研という環境はうれしい。先頃も、フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド氏が、私の武士の結婚実態に関する論文の英訳をくれないか、と興味をもってくれた。近々、日文研のモノグラフ・シリーズに応募してこれらの論文を英語で発信したいと思っている。

 

磯田道史准教授 紹介ページ
http://research.nichibun.ac.jp/ja/researcher/staff/s458/index.html