研究部からのひとこと

2017.11.01 ニッポン化する日本(ジョン・ブリーン教授)

 私の周りがニッポン化しつつある。少し気になる。ニホン、ニホンジンを使うのをやめて、ニッポン、ニッポンジンに切り替えている友人、同僚がいる。5、6年前から多くなってきている気がする。この現象を裏打ちする統計はあまりないので、私の思い過ごしかもしれない。

 10年ほど前までは、ニホン派が圧倒的多数だったことは確かである。国立国語研究所が「日本語話し言葉コーパス」データーベースを使って行った調査では、ニホン、ニホンジンを使う人々はそれぞれ90%を超えていたらしい。他にはNHK放送文化研究所が数回にわたって行った調査もある。少し古いが、ニホン派が過半数であり続けてきたことは明らかである。例えば1993年の調査で「ニホン」が58%、10年後の2003年では、「ニホン」が61%となっている。2013年の統計が欲しいが、見当たらず残念だ。

 公共空間のニッポン化現象は、近年間違いなく進んでいるように思う。2016年のある新聞記事では、ニッポンがテレビ各局で「花盛り」だと指摘されているぐらいだ。(日経電子版2016年6月17日) NHKについては以前からニッポン一辺倒だという印象を受けているが、他のテレビ局の司会者なども、近年ほぼ例外なくニッポン派に帰依しているようだ。政党を見れば、自民党はニッポン派の代表格となろう。大多数の日本人がまだニホンなのに、わざわざニッポンを選択するのはなぜか。

 それは、戦時中もそうであったが、「力強き日本、正しき日本は『ニッポン』」で、ニホンは「力が弱い」(『週報』327号、昭和18年1月20日)とみなしているからだろうか。日本史を研究している私には、ニッポンが「かたい」、「国家主義的」な、「肩肘を張った」ような響きをもって聞こえるのは無理もないかも知れない。これからいずれありうる憲法改正の過程において、ニホン国憲法がニッポン国憲法にならなければよいように思う。いずれにしても、国際日本文化研究センターの「ニホン」だけは大切に、大切に守っていきたい。

 

ジョン・ブリーン教授 紹介ページ
http://research.nichibun.ac.jp/ja/researcher/staff/s009/index.html